【事業承継のリアル】事業承継から1年、三陽電工株式会社のいま

【事業承継のリアル】事業承継から1年、三陽電工株式会社のいま

三陽電工株式会社(以下、三陽電工)は、特殊電線のパイオニアとして、電線の規格品から特殊構造の設計・製造、端末加工を行っています。2020年10月に事業承継を行ってから1年が経ち、前オーナーは引き継ぎ期間を経てご勇退をされました。2021年10月からはセイワグループの井川(以下、現社長)が代表取締役に就任し、セイワグループとしても新規開拓営業などの営業支援を行い、売上向上のご支援を行っております。

この度、事業承継から1年の節目として、従業員の方々にインタビューを実施いたしました。インタビューを通して、事業承継前後における会社の変化や個人のありのまま気持ちをお伝えすることで、セイワグループが事業承継を続ける意義を感じていただければ幸いです。

歴史ある会社だからこそ、外からの新しい刺激が必要

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初めに紹介する方は、技術部の統括や新規製品の開発を担当されているMさんです。

Q.オーナーが変わると初めて聞いたときはどう思われましたか。

驚きました。どういう変化が起きるのか、初めて聞いた時が一番驚きでしたし、不安でしたね。業務が変わってしまうのではないかとか、人員整理が行われないかとか…

ただ、逆に開き直っている部分も個人的にはありました。なるようになれと。こういった長くやっている小さな会社では、外からの刺激がなかなか無いので、いい機会になるのではないかという期待もありました。

Q.事業承継が行われてから1年が経ちましたが、現状についてどう思われていますか。

現社長には、会社に新しい視点を提供していただいていますし、セイワグループの皆さんが新規営業に動いてくださっているのはとてもありがたいですね。

一方で、現場の人間含め会社全体としては、依然としてモノの見方が社内で小さくまとまっていて、外を見ないというのが懸念だと思います。現状は、まだ管理人材などの一部の人間を除いて、認識の変化が起こっていないという印象です。

Q.今後どのような会社になっていくと良いと思いますか。

まずは社内で今まで当たり前だったことが本当に正しいのか、改めて検証していく必要があると思います。そのためにもセイワグループの皆さんには引き続き新しい刺激をいただきたいです。もちろん、それに頼り切っていてはいけないという危機感は全員が持たなければならないと思います。

私個人としては、サンサーモを開発し、会社として電線以外の柱となるものを作りたいと思います。電線以外の製品比率が増えるように製品開発に力を入れていきたいです。

サンサーモ
電線に複数の温度センサを内蔵した三陽電工オリジナル製品。1本のケーブルを引くだけで多点温度管理が可能になり、様々な業界で導入実績がある。
http://www.sanyo-denko.co.jp/pickup/pdf/san-thermo.pdf

現場のやり方が大きく変わってしまわないか不安だった

no2

次は工場長のOさんです。 Oさんは工場長として現場の統括をされています。

Q.まずは自己紹介をお願いいたします。

父の紹介で入社し15年位働いています。現在は工場長として現場をまとめています。具体的には、製品の仕上げ、機械整備、業者への連絡、現場を回り困りごとの吸い上げなどを行っています。

Q.オーナーが変わると聞いた時、率直にどう思われましたか?

不安でしたね。入社して15年働いていたので今までの環境が当たり前になっていて、初めての経験だったのでどうなるかと思っていました。身売りされるのでは?などと、色んなことを勘ぐりました。工場長という立場からも、現場のやり方が変わりやりづらくなるのではないか、最悪の場合は三陽電工という会社がなくなってしまうのではないかというような不安がありました。

Q.事業承継が行われ1年が経ちましたが変化はありますか?

現場の作業という点では変わらなかったですね。ただ、現社長になり社内の風通しが良くなったとは思います。以前は会議で各リーダーの発言はなかったのですが、今は意見を求めてくださるようになりました。空気が変わり非常にいいことだと思います。

Q.今後個人としてやってみたいことはありますか?

製造業の知識をもっとつけていきたいと思っています。自社の理解を深めることはもちろん、他のグループ会社にも足を運び積極的に交流していきたいです。同業他社を見る機会がないのでグループ会社間での交流には興味があります。そこで得た知見を自社で展開し、地盤を固めていきたいです。

更なるやりがいをもって働ける環境に期待

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最後に紹介する方は、Aさんです。Aさんは職人として、ケーブルのはんだ付けなど、非常に繊細な作業をされています。事業承継を聞いた時や現状についてどのように思っているかを伺いました。

Q.業務について教えてください。

ケーブルにはんだ付けをしてコネクタや温度センサなどを付ける業務をしています。比較的新しい部署で、チーム3人で自分たちのスケジュールを組んで業務に励んでいます。

Q.オーナーが変わると聞いた時、率直にどう思われましたか?

びっくりしました。代々家族経営みたいな感じだったので。それが突然変わってどうなるのだろうという感じでしたね。前オーナーが「セイワグループというすごい色々やっている会社さんなので、安心してください」と言ってたんですが、ほんとに?という感情でした。ホームページも結構みて調べました。

Q.事業承継が行われ1年が経ちましたが変化はありますか?

具体的に私の関わる業務として大きな変化の実感はないですね。ただ、「受注が増えた」という話を聞くことはあります。私たちも新しい製品をやっていこうという話は出ているので、仕事の幅は広がったのかなと思います。

Q.セイワホールディングスに期待することはありますか?

厳しい市場環境と聞いているので、新規のお客さんが増えていって欲しいなと思います。前職では防犯カメラの会社ではんだ付けをしていて、製品が鉄道の中に入っているのを見ていました。自分で「私がやった仕事だ!」というやりがいが感じられる商品開発の案件を担当していきたいと思います。

 


いかがでしたでしょうか?前回の東栄コーティングに続き事業承継のリアルとして、三陽電工の従業員の方にインタビューを行い事業承継時の不安や期待をお話ししていただきました。

初めて事業承継の話を聞いた時には、やはり驚きと不安が大きかったそうですが、1年経った今、ものづくりの現場では大きな変化もなく製造ができているということでした。以前に比べて社内の風通しがよくなり意見が言える環境に変わったことや、セイワグループの営業支援も徐々に成果が出てきており、今後の新規拡大が楽しみというお話を聞くことができました。

セイワホールディングスは今後も、優れた技術を持ちながら「後継者不足」や「会社経営」で悩む町工場の支援を通じて、大廃業時代の社会課題の解決に尽力してまいります。また、セイワグループは「世界一働きやすい町工場」を目指し、人材の共有化やIT投資、受発注のネットワーク化などを推進して町工場連合による株式上場を目指します。

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